2025/11/19
目の疲れやドライアイの原因は? 今日からできる簡単セルフケア
目次
はじめに
スマートフォンやパソコンを長時間使用した後、目が重く感じたり、乾いた感覚に悩まされたりしていませんか?
現代社会では、デジタルデバイスの普及により、目に大きな負担がかかる生活を送っている方が増えています。ドライアイの治療をしている人やその疑いがある人は国内だけでも2,200万人以上にのぼるといわれています。
目の不調は単なる一時的な疲れ目ではなく、眼精疲労やドライアイといった慢性的な症状に発展する可能性があります。放置すると日常生活の質を低下させるだけでなく、頭痛や肩こりなどの全身症状を引き起こすこともあります。
本記事では、目の疲れやドライアイの原因を明らかにし、専門的な知見に基づいた対策やセルフケアの方法をご紹介します。今日から実践できる簡単な方法で、目の健康を守りましょう!
※注意事項※
本記事は情報提供を目的としたものです。症状がある方は、医師の診断・治療を受けてください。
なんとなく目が重い…眼精疲労のサインかも
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「目がかすむ」「目が重い」「まぶしく感じる」といった症状を感じたことはありませんか?これらは眼精疲労のサインかもしれません。
眼精疲労とは、視作業(眼を使う仕事)を続けることにより、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態をいいます。
単なる疲れ目と眼精疲労の違いは、症状の持続性にあります。
眼精疲労は症状が休憩や睡眠で収まらず、慢性的に続くものです。一晩眠れば回復する程度であれば疲れ目ですが、翌日になっても症状が残る場合は眼精疲労の可能性があります。
眼精疲労の主な症状には以下のようなものがあります。
目の症状
- 目の痛みや重さ
- 目のかすみ
- 充血
- まぶしさを感じやすい
- 目が乾く感覚
全身症状
- 頭痛
- 肩こり
- 首の痛み
- 吐き気
- 倦怠感
これらの症状に心当たりがある方は、早めの対策をお勧めします。放置すると症状が悪化し、生活の質が大きく低下する可能性がありますので症状が続く場合は眼科医にご相談ください。
ドライアイや疲れ目の原因
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ドライアイや疲れ目には、現代のライフスタイルに関連したさまざまな原因があります。
デジタルデバイスの長時間使用
厚生労働省は情報機器を使用した作業における健康影響について、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しています。
パソコンやスマートフォンの画面を集中して見続けると、まばたきの回数が通常の3分の1程度に減少します。
まばたきは涙の分泌を促し、目の表面に涙を行きわたらせる重要な役割を持っているため、まばたきが減ると目が乾燥しやすくなります。
涙の量と質の変化
ドライアイとは、涙の量が減少しているか、涙の量に問題がなくてもその質が低下していることで、角膜や結膜などの目の表面が傷つきやすくなり、目の中の異物感、乾き、充血といった不快な眼症状が現れる状態です。
涙は3つの層から構成されています。最も外側にある油層は、まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される脂質で、涙の蒸発を防ぐ重要な役割を担っています。この油層が不足すると、中間層の水分がすぐに蒸発してしまい、ドライアイの症状が現れます。
環境要因
- エアコンの使用:室内の湿度が低下し、目の乾燥を促進することがあります
- コンタクトレンズの長時間装用:レンズが涙を吸収し、目の表面の乾燥を引き起こすことがあります
- アイメイク:まつ毛の根元に残ったメイク残りがマイボーム腺を詰まらせ、油の分泌を妨げることがあります
加齢による変化
年齢を重ねるとともに、涙の分泌量は自然に減少する傾向があります。また、マイボーム腺の機能も低下し、質の良い涙が作られにくくなることがあります。
その他の要因
不適切な眼鏡やコンタクトレンズの度数
長時間の近見作業による調節機能の疲労
ストレスや睡眠不足
これらの原因が複合的に作用することで、ドライアイや眼精疲労が引き起こされることがあります。
ドライアイが引き起こす不調
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ドライアイは目の症状だけでなく、さまざまな全身の不調につながる可能性があります。ドライアイは、慢性的な眼の不快感を引き起こす主要な原因であり、生活の質を長期にわたって損なう疾患です。
目の症状の悪化
初期のドライアイを放置すると、目の表面に傷がつきやすくなることがあります。角膜や結膜の上皮細胞がダメージを受けると、異物感や痛みが増強し、視力低下につながることもあります。また、炎症が慢性化すると、より深刻な眼疾患に進行するリスクがあります。
眼精疲労との相互作用
ドライアイも眼精疲労発症の原因になることがあります。ドライアイによって目の表面が不安定になると、焦点を合わせる際に通常以上の努力が必要となり、目の周りの筋肉に過度な負担がかかります。その結果、眼精疲労が悪化し、ドライアイの症状もさらに悪化するという悪循環に陥ることがあります。
頭痛や肩こり
目の疲労は、頭痛や肩こりの原因となることがあります。目の筋肉の緊張が続くと、その周辺の筋肉にも影響が及び、頭部や首、肩の筋肉が緊張状態になります。特に、パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けると、この症状は顕著になります。
集中力の低下
目の不快感が続くと、仕事や勉強への集中力が低下することがあります。視界がぼやける、まぶしさを感じるといった症状により、作業効率が悪化し、ストレスの増加にもつながります。
精神的な影響
慢性的な目の不調は、イライラや不安感といった精神的な負担をもたらすことがあります。睡眠の質が低下し、日中の疲労感が増すという悪循環が生じることもあります。
これらの不調は、適切な対策を講じることで改善できる可能性があります。次の章では、具体的なセルフケアの方法をご紹介します。
目の疲れをやわらげるセルフケアを紹介
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ドライアイ対策や眼精疲労の緩和には、日常生活で実践できるセルフケアが役立つ場合があります。以下の方法を参考に、目の健康維持にお役立てください。
目を温める
マイボーム腺の詰まりを解消するために、アイマスクなどを使って目を温める方法があります。目を温めることで、マイボーム腺から分泌される油が溶けやすくなり、涙の蒸発を防ぐ働きが期待できます。
ホットアイマスクを使用する場合は、朝と夜の1日2回、または寝る前に1回実施するとよいでしょう。ただし、蒸しタオルは目に当てているうちに急激に冷めていき、かえって油が固まる原因になることがあるため、注意が必要です。市販の電子レンジで温めるタイプや、使い捨てのホットアイマスクの使用を検討されてもよいでしょう。
注意点として、花粉症の症状が出ているときは、温めると悪化する可能性があるため控えてください。また、目が充血している場合は、温めるのではなく冷やすほうが適している場合もありますので、症状に応じて判断してください。
意識的にまばたきをする デジタルデバイスを使用する際は、意識的にまばたきの回数を増やすことをおすすめします。通常、人は1分間に15〜20回程度まばたきをしますが、画面を見つめているときは5〜7回程度に減少することがあります。1時間に1回は、意識的にゆっくりと完全なまばたきを10〜20回繰り返すことで、涙の分泌が促進される可能性があります。
適切な作業環境を整える
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日策定、令和3年12月1日一部改正)では、作業環境を整えるために照度・採光の調整が行える照明の設置やグレア(視界の中のまぶしさ)を防止する対策、全身の倦怠感につながりやすい背中や頸部の負担を軽減するための背もたれ・高さ調節が可能な椅子の使用が推奨されています。 具体的には以下の点に配慮するとよいでしょう。
- パソコン画面は目線よりやや下に配置する
- 画面と目の距離を40cm以上保つ
- 室内の湿度を適切に保つ
- 画面の明るさを周囲の環境に合わせて調整する
- エアコンの風が直接目に当たらないようにする
定期的な休憩を取る
厚生労働省のガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設けることが推奨されています。
遠くを見たり、目を閉じたりすることで、目の筋肉の緊張を和らげることができます。1時間に1回は席を立ち、軽いストレッチを行うことも有用です。
目薬の活用
ドライアイ対策には、適切な目薬の使用も選択肢の一つです。人工涙液タイプや、ヒアルロン酸ナトリウムなどの保水成分を含む目薬があります。ただし、防腐剤入りの目薬を1日に何度も使用すると、かえって目の表面を傷つける可能性があるため、防腐剤無添加のものを選ぶとよいでしょう。
市販の目薬で改善しない場合は、眼科を受診し、症状に合った処方薬を相談することをおすすめします。
※目薬の使用にあたっては、添付文書をよく読み、用法・用量を守ってください。症状が改善しない場合は、医師または薬剤師にご相談ください。
目元を清潔に保つ
アイメイクをしている方は、就寝前に必ずしっかりと落とし、まつ毛の根元まで丁寧に洗浄しましょう。メイク残りがマイボーム腺を詰まらせると、油の分泌が妨げられ、ドライアイが悪化することがあります。
生活習慣の改善
十分な睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけることも重要です。特に、オメガ3脂肪酸を含む青魚やビタミンAを含む緑黄色野菜は、目の健康維持に役立つとされています。また、適度な水分補給も忘れずに行いましょう。
これらのセルフケアを継続的に実践することで、多くの場合、症状の軽減が期待できます。ただし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに眼科を受診してください。
まとめ
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現代社会において、目の疲れやドライアイは多くの人が抱える健康課題となっています。デジタルデバイスの長時間使用、環境要因、涙の量や質の変化など、さまざまな原因が複合的に作用して、これらの症状を引き起こすことがあります。 眼精疲労やドライアイを放置すると、頭痛や肩こりなどの全身症状につながり、生活の質を低下させる可能性があります。しかし、適切なセルフケアを実践することで、症状の改善や予防が期待できます。
- 目を温める
- 意識的にまばたきをする
- 作業環境を整える
- 定期的な休憩を取る
といった今日から始められる簡単な対策を、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
また、適切な目薬の使用や生活習慣の改善も有用です。
ただし、セルフケアで改善が見られない場合や症状が悪化する場合は、自己判断せずに眼科を受診し、医師の診察を受けることが重要です。早期発見・早期治療により、より深刻な眼疾患への進行を防ぐことができます。
目は私たちの生活に欠かせない大切な器官です。日々のケアを心がけ、健康な目を維持していきましょう!
※注意事項※
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としております。個別の症状や治療方針については、必ず眼科医にご相談ください。また、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめいたします。
出典・参考
- 日本眼科学会「眼精疲労(目の疲れ)」
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=26 - 公益社団法人 日本眼科医会「ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―」
https://www.gankaikai.or.jp/health/52/index.html - ドライアイ研究会「目が疲れる?眼精疲労の原因と対処法を紹介」
https://dryeye.ne.jp/eye-fatigue/ - 日本眼科医会「IT 眼症と環境因子」研究班(2003)による調査データ
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日策定、令和3年12月1日一部改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf - 日本眼科学会「ドライアイ診療ガイドライン」
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=315&dispmid=909 - 日本眼科学会「日本のドライアイの定義と診断基準の改訂(2016年版)」
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/dryeye.jsp




