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「ウェルビーイングを学ぶ」とはどういうことか——武蔵野大学ウェルビーイング学部の講義に潜入してきました

「ウェルビーイングを学ぶ」とはどういうことか——武蔵野大学ウェルビーイング学部の講義に潜入してきました

目次

はじめに:武蔵野大学ウェルビーイング学部とは

武蔵野大学ウェルビーイング学部とは

2024年4月、武蔵野大学(東京都西東京市)に「ウェルビーイング学部」が誕生しました。「一人ひとりの多様な幸せ」と「世界全体の幸せ」をデザインし、カタチにしていく人材の育成を目指す学部で、ウェルビーイングを専門的・体系的に学べる学部としては国内初の試みです。

武蔵野大学は、武蔵野女子大学を前身とし、2003年に現在の校名へ変更。2004年の男女共学化以降、急速に学部を拡充し、現在は13学部21学科、14大学院研究科、通信教育部を擁し、学生数は14,000人を超える総合大学へと成長しています。

ウェルビーイング学部では、自己・他者・社会・自然との「対話」を軸に、幸せとは何かを多角的に探究します。座学だけでなく、フィールドワークやプロジェクト型の学びも充実しており、学生たちは在学中から社会と接続しながら学びを深めています。

ICSTが取材をさせていただいたきっかけ

医療機器メーカーやヘルスケア業界において、「ウェルビーイング」という言葉はここ数年で急速に広がっています。しかし多くの場合、それは自社のサービスやプロダクトを訴求するための文脈で使われることが少なくありません。「ウェルビーイング」という言葉が一人歩きしてしまっているのではないか、という課題感を、私たちも感じていました。

そんな中で出会ったのが、武蔵野大学ウェルビーイング学部の存在です。ウェルビーイングを学術的・体系的に扱う場があること、そしてその学びが一般生活者にとっても意義深いものであるはずだという確信から、取材を依頼しました。

ビジネスの文脈から離れたところで「ウェルビーイングとは何か」を問い直す場を、みんウェル読者の皆さんにも広く共有したい——そんな思いで、今回の体験レポートをお届けします。

講義概要:自己理解入門A(自己との対話)

講師紹介:中村一浩准教授

今回体験させていただいたのは、中村一浩准教授による「自己理解入門A(自己との対話)」です。

中村准教授は、ミスミ、リクルートなど複数の企業でのキャリアを経て独立。「対話」を日常生活に実装するための取り組みを続けてきた実践者でもあります。2024年4月のウェルビーイング学部開設と同時に准教授に就任し、「対話学」を専門として研究・教育に当たっています。著書に『せかいの声に、耳を澄ます』『あなたの声に、耳を澄ます。』『ことばの焚き火』(ハンカチーフブックス)『なぜすぐに決めないリーダーが結果を出し続けるのか』『新人コンサルタントが入社時に叩き込まれる「問題解決」基礎講座』(日本実業出版社)など。

学内では「カズプロ」と呼ばれる自主活動の場を主宰し、学部・大学の枠を超えた80名以上の学生が参加。三井不動産・NTTドコモ等の企業連携や長野県小布施町・沖縄北部三村(やんばる)でのプロジェクト、地域でのまちづくり連携など、精力的な活動が広がっています。

講義の概要(年間テーマ)

「自己理解入門A(自己との対話)」は、”他者を通じて自己を知る”対話の授業です。高校までの学び方を一度アンラーンし、「学び方」そのものから学びなおすことをコンセプトにしています。

中村准教授のことばを借りれば、この授業のテーマは「この世界であなた自身を生きる」ということ。社会に作られている自分を認識しながらも、同時に社会を作っている自分の主体性を取り戻す——そのためのプロセスとして「対話」が位置づけられています。

前期の大きなテーマは「自分を開くこと」。他者に自分をさらけ出す恐怖を乗り越え、自由な発言や自己表明ができる環境の中で、多様な経験を積んでいくことが目指されます。

本日の講義の議題

私たちが参加したのは、全7回で構成される講義の最終回。テーマは「自己理解入門Aを通じて自分自身にどんな変化があったのか」を学生が振り返ること、そして「この授業での学びはウェルビーイング学部全体の学びにどのようにつながっていくのか」を問い直すことでした。

最終回は通常の講義スタイルとは少し異なり、学生たちがグループに分かれて「中村准教授と授業サポーターの林先生に聞きたいことを考え、実際にぶつける」という形式で進められました。林先生は、山梨学院大学でも教鞭をとっており、中村准教授の開催した対話塾にも参加したことのある対話の場におけるバートナーで、この講義を一緒に作り上げてきた存在です。

体験レポート:学生に「変化」を問い直す

「変化」を問い直す最終回

この日の講義のテーマは「変化」でした。ただし、中村准教授が強調したのは「成長ではなく変化を、主観ではなく事実ベースで見つめること」。入学直後から今日までの自分を振り返り、何がどう変わったのかを言語化することが学生に求められていました。

授業の冒頭、学生たちはグループに分かれ、約15分間「先生に聞きたいこと」を話し合いました。各グループから次々と手が挙がり、学生たちが中村准教授と林先生に向けて質問を投げかけていきます。

講義の内容——飛び交う問いと、誠実な応答

交わされた問いと応答は、予想以上に深く、率直なものでした。いくつかをご紹介します。

「中村准教授は今、神様だという自覚はありますか」

ウェルビーイング学部では、中村准教授が学生から特別な存在として見られていることが話題になることがあるようです。林先生は「(中村准教授は)仲間でもあり、師匠でもあり、友達でもある」と答え、中村准教授自身は「意図して振る舞っているわけではないが、一部の学生からそう思われている自覚はある」と語りました。

「ウェルビーイングは社会では通用しない『綺麗ごと』ではないか」

ある学生が率直な問いを投げかけました。「社会基盤にとって、ウェルビーイングはプラスアルファの概念に過ぎず、今の環境は『ぬるま湯』ではないか。それを教えてくれないのは残酷では?」

これに対して中村准教授は「ウェルビーイングは綺麗ごと・理想論でよい。大切なのは、その理想にあなた自身が向き合い、自分の生き方を問い、そこに向かうための力を持つこと」と答えました。また「能動的に動くべきだが、1年生のうちからそういった厳しさばかりに触れる必要はない」とも。林先生からは「苦労する経験を得る方法はたくさんある。受動的に教わるものではなく、自分の意識や行動を少し変えるだけでいいかもしれない。私はむしろ、ウェルビーイングは社会基盤だと思っている」という言葉がありました。

「自分にどのような軸があるのか」

中村准教授の答えが印象的でした。「人生とは、後ろ向きになって後ろ歩きしているようなもの、という先人の言葉を聞いたことがある。人生を立ち返ったとき、見えるものが自分の軸だと思う」——軸は事前に設けるものではなく、歩んだ後にはじめて見えてくるものだという考え方です。

講義中の学生さんの様子

教室には、本当に「自由な発言」ができる雰囲気がありました。学生たちは中村准教授に対しても臆することなく意見や疑問を投げかけ、答えが出なくても「考えながら話すこと」を受け入れる空気感がありました。

林先生が話しているとき、中村准教授が学生と同じ席に座って耳を傾ける場面もあり、先生と学生の関係性の近さが伝わってきました。

授業は普段から出席率が高いそうで、「楽しいことばかりでなく、自分と向き合わなければいけない機会もあった」「単位を取り終えた後でも自主的に参加している」という声が学生から聞かれたのも印象的でした。

所感:どのようなことを学んだか

社会人や生活者でも取り入れられること

講義後の座談会では、学生たちと率直な意見交換ができました。「受け入れて肯定するだけ」の関係性に対する問いかけが学生の中からも出ていたことが、特に印象的でした。

「ありのままを肯定されると、現状維持や努力をやめることにつながる怖さがある」

「ウェルビーイングが社会では通用しない綺麗ごとに感じる」

こうした問いは、職場やコミュニティにおけるウェルビーイングを考える際にも共通するものではないでしょうか。

中村准教授の「ウェルビーイングは綺麗ごと・理想論でよい。問題は、その理想に向かう生き方と力を持てているかどうか」という言葉は、一般生活者にとっても示唆深いものです。また、「人生は後ろ向きに後ろ歩きしているもの。振り返ったときに見えるものが軸だ」という考え方は、自己分析やキャリアを考えるうえでも響きます。目標から逆算するのではなく、歩んできた道程の意味を問い直すこと——改めて立ち止まって考えさせられました。

ICSTから参加したメンバーの所感

『今回、講義に参加させていただき、特に印象に残ったのは、誰もが互いの意見を否定することなく、安心して自由に発言できる、温かな教室の雰囲気でした。グループワークや質疑応答の場面では、学生の皆さんが自分自身の考えを率直かつ主体的に発信されており、その真摯な姿勢に大変感銘を受けました。
私自身、ウェルビーイングについて様々な悩みや疑問を持って参加させていただきましたが、講義を通じてその考え方に触れることができ、理解を深めるとともに、さらなる関心を持つ貴重な機会となりました。』(業務部スタッフ)

『今回参加させていただいた講義は特に対話が多く、学生の皆さんと先生が互いに考えを交わしながら共に学びを深めていく姿が、とても印象的でした。
中でも、「ウェルビーイングは綺麗ごと・理想論でよい」という中村准教授の言葉が、特に心に深く残りました。理想やゴールがあるからこそ進むべき方向が明確になり、その実現に向けて思考し続けることの大切さを、改めて感じさせていただきました。
また、「この世界であなた自身を生きる」というメッセージからは、自分自身を開き、主体的に社会と関わっていくことの重要性について、深く考えさせられました。このような示唆に富んだ講義の機会をいただき、ありがとうございました。』(申請部スタッフ)

『今回、実際に大学のキャンパスへ足を運び、学部の授業に参加させていただいたことは、大変楽しく、充実した体験となりました。
学生の皆さんがとても明るく、初めてお会いした際にも笑顔で温かく受け入れてくださったことが、特に印象深く心に残っています。授業中のグループでの話し合いや、私どもとの対談の場においても、皆さんが非常に話し上手でいらっしゃり、それこそがウェルビーイング学部の学生さんならではの素晴らしさではないかと感じました。
また、学生さんから伺った「ありのままを肯定する」という社会に対する考え方も、大変興味深く、心に響くものがございました。 「ウェルビーイング」という言葉はその意味が広く、また奥深いものであり、まだ十分に理解しきれていない部分もございますが、今回の経験は自分にとって非常に意義深いものとなりました。』(製造部スタッフ)

まとめ:「ウェルビーイングを学ぶ」という体験

「ウェルビーイングを学ぶ」という体験は、私たちICSTの想像を超えるものでした。

そこにあったのは、整然とした答えではなく、「問い続けること」そのものを大切にする場でした。学生たちは中村准教授に対しても率直に疑問をぶつけ、中村准教授もまた誠実に答えていました。

ヘルスケア業界で「ウェルビーイング」という言葉を使う私たちにとって、この場で見えてきたのは「ウェルビーイングを体系的に学ぶとはどういうことか」という問いへの一つの答えでした。それは特定のプロダクトやサービスではなく、「自分を開き、他者や社会と対話し続ける力を育てること」なのかもしれません。

中村准教授の「この世界であなた自身を生きる」というメッセージは、大学生だけでなく、社会人にも、ヘルスケアに関わる私たちにとっても、深く響くものでした。

この記事の著者 : みんウェル 編集部 (株式会社ICST 営業部)

医療機器営業とオウンドメディア運営の二刀流

これまで、衣料量販店のオウンドメディアの記事制作や、日用品メーカーの社内報の立ち上げに携わり、現在は医療機器の営業活動に邁進。
「医療機器だけでなく、日々の暮らしに役立つ情報もお届けしたい」という想いから、初めての自社メディア『みんウェル』を立ち上げる。

製品のご紹介

みんウェルの運営会社「株式会社ICST」は、
NOZOMI homeブランドの在宅医療機器をAmazon、楽天市場にて販売しております。

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