2025/12/03
生活習慣の改善で「脳を変える」コーチングのプロが食事・運動・睡眠の改善について解説
目次
はじめに
心身の健康やウェルビーイングを顧みた時に、食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善を試みる方は少なくないと思います。
しかし、食事制限や運動習慣など、これまでの自分から大きく変わるようなアクションにはストレスがつきものです。
「なんで私は意志が弱いんだろう」
「どうして継続できないんだろう」
と自己嫌悪に陥った経験はありませんか?
実は生活習慣の改善が続かず、挫折してしまう原因は、意志が弱いのでも、性格の問題でもなく、脳の仕組みによるものだそうです。
本記事では株式会社nochnolife 代表の三柴 春香氏の監修のもと、「脳を変える」ことによる生活習慣の改善を解説していきます。
「脳を変える」ことによる生活習慣の改善

私が「神経可塑性」という言葉に初めて出会ったのは、約3年前、長年勤めていた会社をメンタル不調をきっかけに退職したときでした。その頃は、自分の生活や考え方をどう変えれば、ありのままに自然に日々を過ごせるのか手探りの状態でした。
そんな時に偶然出会ったカリフォルニア大学の研究論文には、成人の脳でも経験や習慣によって神経回路を変化させることができ、ワーキングメモリや注意力、気分や身体の健康にまで影響を与えられる可能性があると書かれていました。この内容は、当時の私にとって衝撃でした。
そこで、論文で紹介されていた6週間の介入行動(食事・運動・睡眠・メンタルコントロールの改善)を実践してみました。最初は心が折れそうな時もありましたが、6週間後には少しずつ自信が芽生え、ヨガインストラクターの資格取得やコーチングを学び、さらには起業に至るまでの変化を体感しました。
この経験から、「脳は変えられる」ということを実感しました。そして同時に、この考え方は私だけでなく、多くの人の生活や習慣改善にも活かせるのではないかと考えるようになりました。
神経可塑性とは

神経可塑性とは、脳内のシナプスや神経回路のつながりが経験や行動に応じて変化する性質のことです。新しいことを学ぶことや、生活習慣を少し変えることで、脳の働きもそれに応じて変化し、考え方や感じ方にも影響を与えることができます。
かつては「成人の脳は固定され、成長や変化は難しい」と考えられていました。しかしカリフォルニア大学の研究論文 では、成人でも神経回路は柔軟に変化し得ることが示されています。
研究では、食事・運動・睡眠・メンタルケアを同時に改善する6週間の介入によって、ワーキングメモリや読解力、気分、マインドフルネス、筋持久力など、さまざまな面で改善が見られたと報告されています。これは私たちの日々の選択や行動を通じて脳を変化させ、より健やかで柔軟な心身をつくり出せる可能性を示しています。
習慣や行動が脳に与える影響

習慣や行動が脳に与える影響を脳科学の観点から説明すると、 毎日の小さな行動のくり返しによって、神経回路が少しずつ再編成されていくことです。
ただ、脳の中で起きている変化は目に見えないため、これを聞いてもあまりメリットを感じる方は多くないかもしれません。
実際に私自身が生活習慣の改善を始めて最初に感じられた変化も、大きなものではなく、『今日一日だけでも続けられた』という小さな達成感でした。
ただ小さくてもこの達成感は重要で、 小さな変化でも「できた」と感じると、脳の報酬系が働き、その行動を「またやりたいもの」として自然に強化していきます。
この積み重ねによって、その行動が脳にとって当たり前の回路となり、気合いや意志力に頼らなくてもストレスなく続けられるようになります。
ただし、ここでひとつ注意が必要な点があります。
それは 最初から大きな行動目標を立てないことです。私たちの脳は、急激な変化や負荷に対してストレスを感じやすく、 「難しすぎる」「できる気がしない」という感覚が少しでもあると、扁桃体(不安や警戒を司る領域)が反応し、行動を避けようとする仕組みがあります。
つまり、挫折の多くは 意志が弱いのでも、性格の問題でもなく、 脳が大きすぎる変化を不安や脅威として判断しているという人間として当たり前の反応です。
だからこそ、最初は本当に小さな行動から始めることが、 脳の仕組みに合った、無理なく習慣化しやすいアプローチになります。
実生活での小さな実践
繰り返しになりますが、私たちは大きな変化よりも小さな変化の方が習慣化しやすいです。だからこそ、日常の中では、まずほんの少しだけ行動を変えることが、大切になります。ここでは、誰でも取り入れやすい小さな実践例をご紹介します。
食事での実践

食事は脳の働きに直結します。血糖値の乱高下や腸内環境の乱れは、集中力や気分にも影響を与えることが知られています。自炊をする方なら、調味料を一つだけ自然由来のものに変えることから始めても良いと思います。
例えば、白砂糖を蜂蜜やエリスリトールに置き換えることやサラダ油をオリーブオイルや亜麻仁油に置き換えることなど。
外食やお惣菜が中心の方は、成分表示を確認し、まずは添加物の少ないメニューを選んでみるだけでも良いと思います。
運動での実践
運動は脳の血流を改善し、気分を前向きにしたり集中力を高めてくれるドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を活性化させます。
歯磨きの時間にスクワットを一回行う、エスカレーターではなく階段を選ぶなど、ほんの小さな行動の積み重ねでも、脳は「身体を動かす習慣」を学習し始めます。こうした小さな行動を継続することで、神経回路が少しずつ強化されていきます。
メンタルコントロールでの実践
心の状態を整えることも神経可塑性を促します。家事や仕事を始める前に、深くゆっくりと一呼吸する。あるいは一日の終わりに「今日一つ感謝できること」を言葉にしたり、ノートに書き留めてみる。こうした小さな行為が、脳に落ち着きや前向きさを与え、ストレスへの反応が和らいでいきます。
睡眠での実践
睡眠は脳にとって最も重要なメンテナンス時間です。記憶の整理や神経回路の再編成は、眠っている間に進みます。だからこそ、ほんの少しの睡眠改善でも脳に大きな効果をもたらします。
例えば、寝る前に照明を少し落とす、布団に入ったら深呼吸を一回する、朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる。これだけでも、一日の集中力や気分の安定につながります。
私自身も睡眠は今も課題に感じることがありますが、寝る数時間前に照明を暗くするだけでも入眠の速度が違うと感じます。
このように、特別な準備や時間を必要としない小さな実践でも、脳は確実に変化します。大切なのは今の自分が「無理なく続けられる小さな一歩」を選び、それを繰り返すことです。積み重ねの先に、思考や感情の変化が訪れます。
nochnolifeが提供するサポート

脳は小さな習慣の積み重ねによって変化します。ですが、実際に生活の中で「自分に合った小さな一歩」を見つけ、続けていくことは簡単ではなく、多くの人が「できなかった」と自分を責め、そこで習慣が途切れてしまうこともあります。
nochnolifeのプログラムでは、知識を一方的に提供するのではなく、傾聴を中心としたコーチングの技法を用いて、あなた自身の中にある目標を引き出すことを大切にしています。小さな達成感を一緒に積み重ね、視点を前向きに整えながら、無理なく続けられる習慣づくりをサポートします。
一人で頑張りすぎてしまう人こそ、友人や家族など誰かを頼ってほしいと思います。伴走者や仲間がいることで、習慣は続けやすくなります。
監修 株式会社nochnolife 代表 三柴春香
カリフォルニア大学およびその他の幅広い研究結果を基に設計されており、科学的根拠のあるプログラムを提供。
研究結果に基づくアプローチとコーチングを掛け合わせた、革新的で実践的な生活習慣の改善を目指しています。




