2025/11/26
産後うつにならないために…妊娠・出産・育児の準備・対策を助産師が「仕組化」しました
目次
はじめに
出産は人生で数えるほどしかない、特別な出来事です。
しかし、そんな「奇跡の瞬間」のあとに、ほとんどの家庭が静かに戦いを始めます。
- 眠れない
- 泣き止まない
- 身体が痛い
- ホルモンで気持ちが不安定
- パートナーとうまく噛み合わない
- ネットの情報は多いのに、何が正しいか分からない
厚生労働省の調査では、日本の産後うつの発症率は10〜15%です。つまり、10人に1人以上が苦しむ計算になります。さらに、核家族化や共働きが進む現代では、十分なサポートが得られず「孤独な育児」になる家庭も増えています。
でも、誤解しないでください。
育児が大変なのは、母親のせいではありません。社会の仕組み、支援体制、情報の過多と不足、そして家庭の変化。多くの要因が、ひとつの家庭にのしかかっているだけです。
本記事では、PROTON 代表助産師 落合陽子氏の監修のもと、妊娠・出産・育児に寄り添う助産師の役割と、孤立しない子育ての仕組みを解説します。
助産師という職業とは

助産師は「赤ちゃんを取り上げる人」というイメージが強いかもしれません。でも実際は、もっと幅が広い専門職です。
妊娠、出産、産後、育児、母体の身体と心、そして家族の生活まで――医療、心理、カウンセリング、教育、社会的支援を横断しながらサポートする、それが助産師です。
医師が「命を救う仕事」だとしたら、助産師は「命を迎え、育ち続ける人生に寄り添う仕事」と言えます。
私は助産師として現場に立ち続けてきました。分娩、授乳、睡眠トラブル、産後のメンタルケア、夫婦関係、育児の悩み――数字にすると、これまで関わった母子は数えきれないほどです。
また、日本だけではなく海外の家庭にも長く関わってきました。核家族化が進み、相談できる人が減っている日本と比べ、カナダでは「助産師は家庭のパートナー」でした。妊娠中も、産後も、日常のことまで気軽に相談できる存在として、家族に寄り添っています。
助産師は医療従事者であると同時に、心理カウンセラーであり、子育てコーチであり、家族の調整役でもあります。安心して出産し、笑って子育てできるように、専門知識と経験を使って支えるのが私の仕事です。
そして実は、多くの家庭の悩みは「医学的な問題」だけではありません。
産前産後の現実と悩み

妊娠・出産・育児には「喜び」と同じ数だけ、大きな不安がつきまといます。それは決して一部の人だけではありません。多くのデータが、現実を示しています。
妊娠期の不安
妊娠期には、以下のような悩みを抱える母親が多く見受けられます。
- 体調の変化
- 仕事との両立
- 出産への恐怖
- 家庭の役割分担
- 経済的な心配
特に働く女性は、妊娠期のストレスが高く、「職場に相談しにくい」という問題にも悩まされることになります。
出産直後の現実
産後の体は、見えないダメージの塊です。分娩のダメージ、貧血、体や傷の痛み、初めての赤ちゃんのお世話――しかも、24時間休みなし。
そして日本では、
- 「ちゃんとしなきゃいけない」プレッシャーが強い
- 「迷惑をかけたくない」文化が根強い
この2つが、孤立を生みやすい背景になっています。
「赤ちゃんはかわいい。だけど、毎日つらい」
この本音を言えない人がとても多いのです。
「育児の正解が見えない社会」で、今の母親たちは、情報の洪水に巻き込まれています。
- 医師の意見
- 先輩ママの体験談
- YouTube・SNS
- 育児本
- 義母のアドバイス
それらが矛盾することも多く、育児の正解が見えない社会が、親の自信を奪っています。
家庭・夫婦の問題にも影響
出産は、家庭に大きな変化をもたらします。
- 夫婦のコミュニケーションが減る
- パートナーが気持ちを理解できない
- 役割分担でもめる
- 夜泣きでイライラ
- 産後クライシス(夫婦仲が急激に悪化)
特に、パートナーやサポーターの多くが「妻の気持ちが分からない」「どうサポートしたらいいか分からない」と感じています。
つまり、夫婦の問題ではなく、知識と仕組みの問題です。「個性」によってストレスは変わるため、同じ育児でも、人によって不安の種類が違います。
- 完璧主義の人は「失敗」が怖い
- 人を優先しやすい人ほど「自分を責めやすい」
- 感受性が高い人は、刺激や環境に影響されやすい
エニアグラムやNLPのような心理学的に見ても、「同じアドバイスで全員が救われる」ことはありません。必要なのは、個性に合わせたサポートです。
つまり、産前産後の悩みは、
- 身体
- メンタル
- 夫婦・家庭
- お金
- 仕事
- 育児の情報
- 自分の性格特性
これらが複雑に絡み合った状態。どれか一つの問題ではなく、「生活そのもの」が変わる期間です。
ここまで読むと、多くの人が気づきます。
「ママ一人で抱えるのは無理がある。」
では、この現実をどう支えられるでしょうか。
助産師による対策とサポート

産前産後の悩みは、「根性論」では解決しません。必要なのは仕組みと専門家と継続的な伴走です。そこで大きな役割を果たすのが、助産師です。
助産師が入ると何が変わるのか?
1.医学的リスクの早期発見
母体・赤ちゃんの変化は、ほんの小さなサインから始まります。医療知識のある専門家がそばにいるだけで、「不安が不安のまま大きくなる前」に止めることができます。
早めの相談は、産後うつや授乳トラブルを大きく減らすことが分かっています。
2.精神的サポート(心理学的・カウンセリング的アプローチ)
「なんで泣いているのか分からない」「私が悪い気がする」という思い込みをほどくには、言語化と認知の整理が必要です。
- 悩みの構造化
- 事実と解釈を分ける
- 夫婦間のすれ違いの翻訳役
- 自己否定を弱める声かけ
心の癖を整えていくと、ママの行動と気持ちが前向きに変わります。
3.パートナーの巻き込みと夫婦関係の調整
男性の多くは「何をすればいいか分からないだけ」です。助産師が入ると、夫婦のコミュニケーションは劇的に変わります。
- ママの負担が見える化
- 役割の分担方法
- 夜泣き対応の交代
- 「ありがとう」を増やす習慣
伴走サポートがある家庭ほど、夫婦関係の満足度が高いとも言われています。
4.情報の整理と「正解の選び方」をサポート
ネットの情報は多すぎます。大切なのは「あなたの家庭に合う選択肢」です。
- 赤ちゃんの性格
- 家族の生活スタイル
- ママの体質
- パートナーの働き方
- 親族のサポート有無
これらを踏まえて、最適なやり方だけを選ぶ。そうすることで迷いが減り、ストレスも減ります。
5.海外のような「家庭に寄り添う仕組み」を日本で
カナダでは助産師が家族の一員のように寄り添い、妊娠から産後まで継続的にサポートします。
その結果として、
- 産後うつが減る
- 夫婦仲が良い
- 育児満足度が高い
- 母親の自己効力感が高まる
つまり、助産師が入ると家庭が安定します。日本ではまだ一般的ではありませんが、必要としている家庭は確実に増えています。「相談したらラクになる」のではなく「仕組みがある家庭は、崩れにくい」ということです。
そして最も大切なことは、助産師は「ママだけ」ではなく「家族全体」を見る専門家だということ。
- ママの心と体
- 赤ちゃんの状態
- パートナーの理解
- 生活の土台
- 将来の見通し
この全部を扱える専門家は、実は助産師しかいません。
具体的なアウトプットと運用方法

言葉で「サポートします」だけでは不十分です。家庭が安定し、ママが自信を取り戻し、赤ちゃんが健やかに育つには、再現性のある仕組みと実際に使える形が必要です。
ここでは、現実の生活で役立つ”運用できるサポート”を整理します。
妊娠期:不安と準備を整えるステージ
情報の整理と優先順位づけをお手伝いします。
ネット・SNS・周囲の意見…全部追えば追うほど迷います。助産師が、必要な情報だけを抽出し、家庭に合う選択肢へ絞ります。
- バースプラン
- 病院の選び方
- 家庭の役割分担
- 産後の生活導線
「何を、いつまでに、どうやるか」を明確にすると、夫婦で共有でき、主体的に出産に臨むことができます。
出産直後:一番崩れやすい時期の支え
授乳・抱っこ・睡眠のアドバイスやサポートをします。
1日5分のアドバイスで、数週間のストレスが減ることは珍しくありません。授乳痛や乳腺炎の予防、赤ちゃんの睡眠リズムの作り方など、「正しい方法を最初に知る」だけで生活が激変します。
また、メンタルケアと認知の整理も重要です。
「できていない」ではなく「ちゃんとやれてる」を可視化。ネガティブの渦に飲まれない思考整理は、産後ほど必要です。
夫婦のチーム化:体制づくりのサポート
育児は「ママだけの仕事」ではありません。
- パートナーに具体的な役割を提示
- 夜の交代制
- ホルモン変化の理解
- 感謝の言語化
助産師が”通訳”に入ることで、夫婦仲は想像以上に改善します。伴走型サポートを利用した家庭では、夫婦関係の満足度が高いと考えられています。
産後1ヶ月〜:育児と生活を整えていく
- 赤ちゃんの生活リズム
- 離乳食の悩み
- 体形・体力の回復
- 外出や遊びの選択
- 上の子との関わり
「普通これでいいの?」「うちだけ大変なの?」
そんなグレーな悩みが解決すると、家庭は安定します。
継続サポートの形
ここが「再現性」のポイントです。
例えば、
- オンライン相談
- LINEでいつでも質問
- 訪問ケア
- 月額制の伴走サービス
- パートナー向けレクチャー
- メンタルサポート
- 赤ちゃんの成長発達フォロー
「一度聞いて終わり」ではなく、「困った瞬間に頼れる」仕組みがある家庭は崩れません。
相談は「弱さ」ではなく「賢さ」
特に日本では、「相談したら負け」という文化が根強いですが、海外では「専門家をチームに入れるのは当たり前」と考えられています。なぜなら、その方が圧倒的に楽で、トラブルも少ないからです。
助産師が入ると、
- 迷いが消える
- 気持ちが軽くなる
- パートナーが動く
- 家庭が整う
- 赤ちゃんが安定する
- ママの自己肯定感が回復する
これは「気合」ではなく「仕組みの結果」です。
まとめ

妊娠・出産・育児は、幸せで、尊い時間です。でも現実は、体力も、メンタルも、夫婦関係も、生活も、すべてが揺れる大変な時期。そしてそれは、誰のせいでもありません。
- 核家族化
- 共働き社会
- 情報の洪水
- 周囲の理解不足
- 「母親は強くあるべき」という古い価値観
この「社会の構造」が、家庭に負担を押しつけているだけです。だからこそ必要なのは、ママが我慢する育児ではなく、支援を前提とした育児の仕組み。
助産師が家庭に入るという選択は、弱さではなく「賢い戦略」です。
- 気持ちが楽になる
- 赤ちゃんが安定する
- 夫婦仲が良くなる
- 育児が怖くなくなる
- 笑顔が戻る
- 自信が生まれる
育児は、誰かに頼りながら進めていい。相談できる相手がいるだけで、人生は大きく変わります。
出産はゴールではなく、スタート。そのスタートラインに、横で走ってくれる専門家がいたら――育児はもっと優しくなる。 そんな未来を、助産師として、女性として、そして人として、届けていきます。

監修 PROTON代表助産師 落合陽子
ここまでお伝えしてきたことを、現実の仕組みとして形にしたのがPROTONの伴走型サポートサービスです。
PROTONは「産前産後の家庭を孤立させない」ことを目的として、下記のような社会課題を解決します。
・産後うつ(10〜15%)
・育児の孤立
・夫婦関係の悪化
・情報の混乱
・相談先の不足
・パートナーが動けない仕組み
これらは、国レベルの課題であり、家庭単位だけで解決できません。PROTONは、家庭 × 専門家 × 仕組み この3つを接続して、問題そのものを小さくします。
どんなサービスなのか?
助産師・専門家の伴走サポート
- 妊娠中から産後まで継続的にフォロー
- 心と体のケア
- 授乳・睡眠・発達の相談
- 出産前準備の設計
- 夫婦コミュニケーションの調整
いつでも相談できる体制
- オンライン相談
- LINEサポート
- 必要時は訪問
「困った瞬間に頼れる」環境が、家庭を崩さない最大の鍵です。
PROTONが生む未来
- ママが笑う
- パパが動く
- 赤ちゃんが安定する
- 夫婦がチームになる
- 孤立しない育児が当たり前になる
そして社会は、「産むのが怖い国」から「安心して子育てできる国」へ。育児はひとりで戦うものではありません。家族のそばに、専門家がいるという新しい当たり前を広げていきます。
この文章を読んで、「少し肩の力が抜けた」「相談してみようかな」そう思った人は、すでに一歩前に進んでいます。
必要なときは、いつでも手を取ります。
あなたと、家族と、未来の子どもたちのために。




