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ICST医療専門用語集

体外診断用医薬品

体外診断用医薬品とは――定義と法的位置づけ

体外診断用医薬品とは、人体から採取した検体(血液・尿・組織等)を用いて疾病の診断を目的とし、人体に直接使用しない医薬品を指します。
根拠は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法)第2条第15項であり、法律上は「医薬品」に分類されます。

ただし、体外での使用という特性から、医薬品とも医療機器とも異なる独自の規制体系が設けられています。
所管官庁はヒト用が厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)であるのに対し、動物用は農林水産省が担当し、適用法令も動物用医薬品等取締規則に切り替わります。
この二元的な規制構造を最初に把握することが、実務対応の出発点となります。

対象品目の範囲・関連用語と「ヒト用/動物用」の区別

ヒト用の代表的な品目には、血糖測定試薬、感染症抗原・抗体検査キット、腫瘍マーカー測定試薬、コンパニオン診断薬(特定の医薬品の適応患者を選定するために用いる診断薬)などがあります。
動物用には、畜産分野の伝染病検査試薬やペット向けの血液生化学検査試薬が含まれます。

なお、動物用体外診断用医薬品は薬機法上の「体外診断用医薬品」の定義には含まれない点に注意が必要です。

関連用語

  • 体外診断用医薬品:薬機法第2条第15項に定める医薬品の一類型
  • コンパニオン診断薬:特定の治療薬と対になって患者選択に用いる体外診断用医薬品
  • 一般用検査薬:薬局等で一般消費者が購入・使用できる体外診断用医薬品
  • 動物用体外診断用医薬品:動物用医薬品等取締規則が適用される獣医用検査試薬(薬機法上の体外診断用医薬品とは別カテゴリ)
  • 登録認証機関:厚生労働大臣が登録した第三者認証機関(クラスⅡ相当品目の認証を実施)

品目の分類を正確に把握することが、後続する許可申請の選択に直結します。

製造販売・製造に必要な許可と申請ルートの比較

ヒト用体外診断用医薬品を市場に供給するには、まず薬機法第12条に基づく製造販売業の許可を取得しなければなりません。
許可区分は第一種から第三種まであり、品目のリスク区分に応じて必要な区分が定まります。
製造所については薬機法第13条に基づく製造業の登録が別途必要となります。

品目ごとの市販前手続きは、原則クラス分類に応じて「届出」「認証」「承認」の3類型に分かれます。
低クラス品目は届出のみで足りる場合がありますが、中クラス品目は登録認証機関による認証、高クラス品目はPMDAの審査を経た厚生労働大臣の承認が必要となります。

また、新規性の高い品目などはクラス分類にかかわらず承認が必要になることもあります。

動物用については農林水産大臣への製造販売承認が原則であり、一部品目には届出制度が設けられています。

まず自社品目のリスク区分を確認し、必要な許可・手続きの全体像を整理することが先決です。

品質管理体制――QMS省令と動物用GMP基準の適用関係

ヒト用体外診断用医薬品の製造販売業者および製造業者には、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」(QMS省令、令和3年厚生労働省令第15号)が適用されます。
同省令は製造所における品質システムの構築、バリデーション(製造工程の妥当性確認)の実施、変更管理・逸脱管理の記録を義務付けています。

また、市販後変更管理計画(PACMP)を活用することで、承認後の一部変更手続きの効率化が図れます。

動物用については、農林水産省告示に基づく動物用医薬品製造管理基準(動物用GMP)が対応する品質管理規範となります。

両規制の要求事項には共通する概念が多いですが、文書管理や当局への報告様式が異なるため、兼業事業者は制度ごとの要件を個別に確認されることをお勧めします。

市販後規制・届出変更管理と最新の規制動向

市販後においてヒト用体外診断用医薬品の製造販売業者は、薬機法第68条の10に基づき、副作用・感染症の発生を知った際には所定の期限内にPMDAへ報告する義務を負います。
また、承認内容を変更する場合は変更の重大性に応じて「一部変更承認申請」「軽微変更届出」のいずれかの手続きが必要となります。
GVP省令(Good Vigilance Practice省令)に基づく市販後安全管理体制の整備も製造販売業者の義務であり、安全管理統括部門の設置と手順書の整備が求められます。

動物用については農林水産省通知に基づく有害事象報告制度が対応する仕組みとなっています。
PMDAや農林水産省は随時ガイダンス・通知を更新していますので、各機関の公式ウェブサイトを定期的に参照し、社内手順書への反映サイクルを確立しておくことが継続的なコンプライアンス管理の要となります。

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